橋梁の色彩検討

タスクが提案する、橋梁の色彩検討の考えかた

色彩環境づくりでは、単に色彩の良し悪しではなく、対象と周辺環境のとの「関係性」を重視します。橋梁の色彩設計では、周辺地域やその地域のまちづくり動向の中で、対象の橋梁をどのように見せるかを考えます。
タスクでは、色彩環境を中心に調査を行い、その地域の色彩環境の特性や個性、求められる色彩等を抽出し、これらを基準に色彩設計を行います。また、色彩選定の段階では、フォトモンタージュやVR等の視覚化資料を作成し、わかりやすく的確なシミュレーション検討を行います。

環境色(自然色・人工色)カラーパレットの作成と分析

色彩計画では、まず対象となる周辺地域の自然条件、社会的条件と共に色彩調査をします。その地域が持っている色に関する個性や、その地域が求める色などを探し出す事が重要です。環境色彩計画は用いられる色の良し悪しではなく、周りとの関係性を重視します。
現地調査では、環境色の構成要素をカラーチャートに当てはめて求め、土・石、植物、水・空気等の自然色や人工色などに分類して、カラーパレットを作成します。

自然色の色彩の中でも、植物の色は四季折々に変化します。よって、環境色の現地調査では、春夏秋冬それぞれの色彩を測色する為に、一年間を通して行われる事もあります。
人工構造物の色は自然色よりも、色の構成要素の範囲に大きいばらつきがあり、理想的な景観色彩つくりを難しくしています。色彩設計をするにあたってはコンセプトや構造物の寿命などを考えて、環境色として取り上げる対象を決める必要があります。

上のそれぞれの図を見比べた場合、自然色特性分布図では、色のプロット点の分布にまとまりが見られますが、人工色特性分布図には色のまとまりがなく、プロット点が広範囲にばらけているのが分かります。

色彩設計コンセプトの設定

対象地域の自然条件・社会的条件・道路計画条件・環境風土色を調べ、地方自治体の景観条令や上位計画などと照らし合わせます。その地域が今後、どのような方向性で地域づくり、街並みづくりを目指そうとしているのかを把握し、それに沿うような色の選定も考慮します。それらによって、総合的な景観条件を導き出し、対象物完成後のあるべき姿を設定します。

ここでは「色」そのものを議論するのではなく、地域づくりの中で橋をどのように見せる事が良いのかを決めます。すなわち最終的には、周囲の環境との関連で、橋を「強調」「融和」「消去」のいずれの見え方にするかを決めます。

候補色の絞り込み、選定

これまでの作業を元に、各視点場毎の設計方針を満足する色の範囲(必要条件)をグラフで表し、それらを合わせて、全ての視点の設計方針を満足する色の範囲(必要十分条件)を下表のように絞り込みます。それにより、色相・明度・彩度を決定します。

往々にして、全てを満足させる範囲が求められないこともありますが、その時は重要な視点場の設計方針を優先させたり、大きな影響を与えない範囲まで色彩の範囲を広げる場合もあります。

視覚化資料の作成

人の感じる色(実際の見え方)は、周囲の色彩との関係、面積、形状、距離、あるいは人の感情の起伏などが複雑に絡んで、色見本と異なってしまう事が多々あります。評価に当っては、候補色の実際の見え方を確認し、なるべく正確に予測した視覚化資料を作成します。


フォトモンタージュのプリントサイズは現実性を感じる見方を再現するために、最小でも画角を60度確保して見られる横A4判以上にしますが(30cm程度離さないときちんと見られない)、実際はA3判以上で作成する方が、より色彩表現の正確な評価ができます。